2階だけ寒いのは屋根のせいかも。断熱カバー工法で変わること

屋根裏が「−22℃」も変わる?
京都・滋賀で話題の『断熱カバー工法』、正直にお話しします

「暖房フル稼働なのに、なぜか2階だけ寒い」…心当たりありませんか?

正直に言わせてください。京都の冬って、本当に厳しいんですよね。足元からじわじわ這い上がってくるような「底冷え」。比叡山から吹き下ろす風が身に染みる滋賀の寒さ。暖房を最強にしても、なぜか2階の寝室だけは冷蔵庫みたい——。

築20年くらいのお住まいだと、こんな悩みを抱えている方、実はかなり多いんです。

夏も夏で大変ですよね。階段を上がった瞬間、ムワッとした熱気が顔を包む。「うちの2階、サウナかな?」なんて苦笑いしたこと、一度や二度じゃないのでは。

日本の伝統的な家屋の屋根

その寒暖差、実は「屋根」が原因かもしれないって、ご存知でしたか?

今回は、屋根を新しくしながら断熱性能までアップできちゃう『断熱カバー工法』について、メーカーの実測データや京都・滋賀ならではの気候条件を踏まえながら、とことん掘り下げてみたいと思います。

そもそも、なんで築20年の2階はあんなに寒いの?

「窓は二重サッシに変えたのに、まだ寒いんだけど…」

こういう声、本当によく聞きます。リフォームの相談に来られるお客様の中にも、同じ悩みを抱えている方がたくさんいらっしゃるんですよ。

ここで見落とされがちなのが、屋根からの熱損失という問題。建築環境・省エネルギー機構の研究データによると、住宅から逃げる熱の内訳はこんな感じになっています。

【図解】住宅からの熱損失割合

出典:建築環境・省エネルギー機構
  • 窓から 最大約38%
  • 壁から 約21%
  • 屋根・天井から 約17%

窓対策はもちろん大切。でも、屋根を放置したままだと、せっかく暖めた空気がどんどん外へ逃げていっちゃうわけですね。

たった5mmの「板」で、本当に大丈夫?

これ、私自身も最初は驚いたんですが…。築20年前後の住宅によく使われている化粧スレート屋根。その厚さ、なんと約5mmしかないんです。セメントと繊維を薄く固めただけの素材なので、断熱材としての機能はほぼゼロに近い。

古い屋根材の詳細

ちょっと想像してみてください。京都市の1月、最低気温の平均は約1.2℃。大阪より2℃も低いんですよ。盆地の北側に行けば平均気温が氷点下になる地域だってあります。

そんな極寒の中、たった5mmの板一枚で室内の暖かさを守れると思いますか?

屋根が冷え切ると、天井裏の空気まで冷やされて、それが隙間を通じて2階に降りてきます。これを「コールドドラフト」って呼ぶんですが、暖房をつけても足元がスースーする、窓際に座るとゾクッとする——あの不快感の正体がコレなんです。

夏の屋根は「70℃超え」。屋根裏が熱の貯蔵庫になる怖さ

困るのは冬だけじゃありません。真夏の太陽に照らされた屋根材の表面温度は、70℃から80℃に達することも。この熱がどんどん屋根裏に溜まって、小屋裏の温度は50〜70℃くらいまで上昇します。

もはや天井裏がサウナ状態。想像するだけで汗が出てきますよね。

厄介なのは、この熱が夜になっても簡単には冷めないこと。天井を通して室内にジワジワと放射される「輻射熱」は、エアコンで空気を冷やしても体感温度がなかなか下がらないという特性があるんです。

  • 70
    真夏の屋根表面温度
  • 50
    2024年 京都市猛暑日
  • 5mm
    スレート屋根の厚さ

京都市の猛暑日は平年で年間約15日程度でしたが、近年は記録更新が続いています。2024年には観測史上最多の50日超えを記録しました。

この過酷な夏を乗り切るには、屋根の熱対策が欠かせないと思いませんか?

「重ねるだけ」で劇的に変わる。断熱カバー工法の仕組みを解説

「金属屋根って、夏は暑くて冬は寒そう」「雨が降ったらうるさいんじゃない?」

こんなイメージをお持ちの方、けっこういらっしゃいます。

ただぶっちゃけて言うと、これは昔のトタン屋根の話。最新の断熱材付き金属屋根材は、その常識を根底から覆してくれるんですよ。

魔法瓶みたいな「三重構造」が熱を遮る

カバー工法というのは今ある屋根を剥がさずに、その上から新しい屋根材を被せる方法です。「え、ただ重ねるだけ?」って思うかもしれませんね。でも高性能な断熱材付き屋根材を選べば、まるで魔法瓶のような断熱効果を発揮してくれます。

モダンな住宅の外観
  • 1
    新しい屋根材

    高反射性の金属が太陽熱を跳ね返し、裏面の断熱材が熱の伝達をブロック

  • 2
    既存のスレート屋根

    新規屋根で遮りきれなかった熱を吸収するクッション役

  • 3
    もともとの天井断熱材

    二重屋根の間にできる空気層が、さらに熱の移動を抑制

この三重ガードによって、既存の天井断熱材を活かしながら、屋根単体のリフォームより高い性能を実現できるわけです。

野地板裏の温度が「22℃」も下がる。メーカー実測データの衝撃

「理屈はわかったけど、本当に効果あるの?」その疑問、もっともだと思います。ここで、メーカーの実測データをご紹介しましょう。

【図解】断熱材有無による野地板裏温度比較
断熱材付き 断熱材なし 0℃ 10℃ 20℃ 30℃ 40℃ 50℃ 26.6℃ 49℃ 差:約 22℃

ニチハの試験によると、断熱材付き金属屋根材を使った場合の野地板裏温度は26.6℃。一方、断熱材なしだと49℃。その差、なんと約22℃にもなります。

アイジー工業の試験でも、屋根裏温度が15℃以上低下することが確認されていますし、ニチハの別試験では断熱材なしと比較して約25℃の差が出たというデータも。

  • −22
    野地板裏温度の低下
  • 15〜30%
    年間光熱費削減

「屋根が熱くならない」というこの効果が、2階の体感温度をグッと和らげてくれるんですね。しかも温度改善は光熱費にも直結します。夏はエアコンの効きが良くなり、冬は暖房の熱が逃げにくくなる。年間光熱費で15〜30%程度の削減が見込めるケースもあるんですよ。

快適さとお財布、両方に優しいってなかなか魅力的だと思いません?

雨音は「図書館レベル」まで静かに

「金属屋根は雨音がうるさい」——これも過去の話です。横暖ルーフの実験データでは、雨音が68dB(騒がしいオフィスくらい)から33dB(静かな図書館レベル)まで低減することが証明されています。

雨に濡れた窓
68dB
従来の金属屋根
33dB
断熱材付き屋根材

別の試験でも70dBから31dBへの低減が確認されていて、断熱材が優秀な吸音材としても働くことがわかっています。金属屋根特有の悩みである「ギシギシ」という熱伸縮音も、断熱材一体型なら温度変化が穏やかになるので軽減されます。

豪雨の夜でもぐっすり眠れる。そんな屋根が手に入るんです。

京都・滋賀だからこそ。地域特性を知り尽くした視点から

全国向けの一般論じゃなくて、この地域だからこその話をしましょう。京都・滋賀の気候を熟知している私たちの目線で、断熱カバー工法の強みをお伝えしますね。

京都編:景観条例をクリアしながら「底冷え」対策

京都市内の一部地域では、歴史的な街並みを守るための景観条例があります。「屋根リフォームしたいけど、派手な色はNGだし…」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

でも大丈夫。現代の金属屋根材は、黒やいぶし銀といった落ち着いたアースカラーが豊富に揃っています。立平葺きなどシンプルで重厚感のあるデザインを選べば、厳しい景観条例もクリアしつつ、高い断熱性能を手に入れられますよ。

京都の伝統的な街並み
  • カバー工法は既存屋根を撤去しないから、工期が短くて廃材も少ない
  • 近隣への騒音や粉塵を最小限に抑えられる
  • 盆地特有の「底冷え」対策として理にかなった工法

放射冷却で冷気が溜まりやすい京都の冬。屋根からの熱損失を抑えれば、暖房効率がグンと上がります。2階の寝室で毛布を何枚も重ねる夜、そろそろ終わりにしませんか?

滋賀編:豪雪地帯の「すが漏れ」と湿気対策

滋賀県、とりわけ湖北・湖西エリアは近畿最大の豪雪地帯です。高島市全域、長浜市や米原市の北部は多雪区域に指定されていて、積雪が1メートルを超えることも珍しくありません。

この雪深い環境で怖いのが「すが漏れ」という現象。屋根に積もった雪が室内の熱や日射で溶け、軒先で再び凍ってつらら状になると、行き場を失った水が屋根材の隙間から浸入してしまうんです。

雪に覆われた屋根

金属屋根のメリット

金属屋根は密閉性が高く、表面がツルツル。雪が自然に滑り落ちやすい構造なので、すが漏れの根本原因を断てますし、危険な雪下ろし作業も減らせます。

もうひとつ気をつけたいのが、琵琶湖周辺の高湿度環境。湿気はサビの原因になりますからね。でも最新のSGL鋼板(次世代ガルバリウム鋼板)は、従来品より耐食性が3倍以上。穴あき保証も25年と長いので、湿気の多い滋賀県でも安心して使えます。

後悔しないための製品選び。ここだけは押さえてほしいポイント

「カバー工法がいいのはわかった。でも、どの製品を選べばいいの?」「安い見積もりって、何か裏があるんじゃ…?」

そんな不安、よくわかります。失敗しないためのチェックポイントを、具体的にお伝えしますね。

「断熱材一体型」を選ぶ。これは絶対です

重要な注意点

ハッキリ言います。断熱材なしの金属屋根を選んではダメです。価格差は1㎡あたり2,000〜3,000円程度。100㎡の屋根でも20〜30万円の違いにすぎません。

でも断熱材なしを選ぶとどうなるか。夏は野地板温度が約22℃も高くなって、2階が耐えられない暑さに。冬は暖房の熱がどんどん逃げて、雨音も2倍以上うるさくなる。まさに「安物買いの銭失い」の典型例。ここでケチると、後々ずっと後悔することになりかねません。

代表的な高性能製品を挙げておきましょう。

おすすめ
スーパーガルテクト(アイジー工業)
熱貫流率 1.43W/m²K 断熱材厚 16mm SGL鋼板採用
おすすめ
横暖ルーフαプレミアムS(ニチハ)
断熱材厚 17mm(業界最厚クラス) SGL鋼板採用

製品を比べるときは「断熱材の厚み」と「熱貫流率(U値)」をチェックしてください。熱貫流率は数値が小さいほど断熱性能が高いことを示しています。鋼板は必ずSGL鋼板採用製品を。従来のガルバリウム鋼板より耐食性3倍以上で、価格差はほとんどありませんから。

「換気棟」がないと家が腐る。これ、意外と知られていない落とし穴

断熱性能を高めると、実は思わぬ問題が発生します。それが結露

京都・滋賀の冬は湿度が高いですよね。暖房で温められた室内の湿気が屋根裏に入り込み、冷えた屋根面で結露すると、カビが生えたり木材が腐ったりします。せっかくの断熱材も湿気でダメになっては意味がない。

この問題を防ぐのが「換気棟(棟換気)」の設置です。軒先から入った空気を屋根の頂点から排出する「煙突効果」で、湿気を効率よく外に逃がしてくれます。

見積書をチェックするとき、以下が含まれているか必ず確認してください。

  • 断熱材一体型の屋根材(厚み16mm以上が目安)
  • SGL鋼板採用製品であること
  • 換気棟(棟換気)の設置
  • 改質アスファルトルーフィング(高品質防水シート)の使用
  • 施工前の野地板状態確認

これらが明記されていれば、ひとまず安心。逆に、断熱材なしの製品をすすめてきたり、換気棟の設置を省こうとする業者には要注意です。

まとめ:断熱カバー工法で、京都・滋賀の暮らしがもっと快適になる

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。最後に、今回のポイントを整理しておきましょう。

  • 築20年のスレート屋根が寒い原因は、屋根の断熱性能不足。たった5mmの板では、京都・滋賀の厳しい気候を防ぎきれません。
  • カバー工法の強みは、「既存屋根+空気層+断熱材」の三重ガード。夏涼しく、冬暖かい住まいを実現できます。
  • メーカー実測データでは、野地板裏温度が約22℃低下。雨音も68dBから33dBへと、図書館レベルの静けさに。
  • 京都・滋賀の気候特性にも、SGL鋼板の断熱カバー工法はベストマッチ。底冷え対策、積雪・すが漏れ対策、湿気対策、すべてをカバーできます。
  • 成功のカギは、「断熱材一体型」を選ぶことと、「換気棟」の設置を忘れないこと。

屋根のリフォームは、単なる家の修理じゃありません。これから20年、30年と続く「毎日の快適さ」への投資なんです。

断熱材の追加費用は約20〜30万円。でも年間の光熱費削減を考えると、5〜8年程度で元が取れる可能性も十分あります。お財布にも地球にも優しい選択、悪くないと思いませんか?

今年の冬こそ、凍える夜にサヨナラを告げましょう。

まずは、ご自宅の屋根がカバー工法に適しているかどうか。

何かご不明な点やご相談があれば、お気軽に株式会社RIzaimまでお問い合わせください。
京都市山科区を拠点に、お客様の理想の住まいづくりを全力でサポートいたします。


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