ジャパンディが「なんか違う」理由|プロが教える本物の作り方

「なんか違う…」は卒業!2025年秋冬、本物の『ジャパンディ』を叶えるプロの3つの掟

ジャパンディスタイルのインテリア

すっかり定番となった「ジャパンディ」スタイル。心地よくて、ミニマルで、お洒落。誰もが憧れるその響きに、SNSや雑誌を見て「うちもこんな風にしたい!」と思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ挑戦してみると「ただのシンプルな部屋?」「なんだかモデルルームみたいで落ち着かない…」なんて経験、ありませんか?


ご安心ください。その「なんか違う」には明確な理由があります。この記事では、数々の住まいを見てきたプロの目で、ありがちな”なんちゃってジャパンディ”の落とし穴を解き明かし、2025年秋冬の最新トレンドを交えながら、あなたの暮らしを格上げする「本物のジャパンディ」を実現するための3つの掟を、具体例とともに徹底解説します。


掟の壱:素材感こそが魂と知るべし! ― 「質感」で空間に深みを出す

ジャパンディの本質は、単に「白と木」を組み合わせることではありません。視覚だけでなく、思わず触れたくなるような「天然素材の豊かな質感」を重ね合わせることに、その神髄があるんです。

天然木の質感

安価なプリント合板や人工的な素材ばかりで構成された空間は、どうしても平面的で冷たい印象になりがちですよね。日本の「侘び寂び」が愛でる不完全さや、北欧の「ヒュッゲ」が大切にする温もりは、本物の木が持つ木目、リネンのしわ、陶器の土の感触といった、自然素材ならではのテクスチャーによって初めて生まれるのです。


例えば、「リビングをとにかくスッキリさせたい」と願うBさんの家。床も家具も同じような木目調シートで統一した結果、なぜか落ち着かないノッペリした空間に…。そこでプロは、ソファに一手間加えることを提案します。

定番人気のブークレ生地も素敵ですが、2025年秋冬の新たな注目は、ふわふわと豪華な『シアリング(ムートン調)』や、上品な光沢を放つ『ベルベット』素材。これらのクッションを一つ置くだけでも、空間に贅沢な温もりが生まれます。あるいは、ざっくりとしたウールのブランケットを掛けるだけでも、空間に温かいリズムと奥行きが生まれます。テーブルは無垢材に、難しければサイドテーブルだけでも本物の質感を取り入れる。この「一点豪華主義」ならぬ「一点本物主義」が、空間全体の質感をぐっと引き上げるのです。

見た目の色だけでなく、素材が持つ「質感」にこだわること。それが、”なんちゃって”から脱却するための、最初にして最大の掟です。

素材選びの具体的なポイント
  • 木材は「重さ」で判断:本物の無垢材は、持ち上げた時に「おっ」と思うほどの重量感があります
  • 触って確認する習慣を:天然木には必ず木目の凹凸があり、プリント合板とは手触りが全く違います
  • 継ぎ目をチェック:高品質な家具は「ダブテイル継手」や「ホゾ継手」といった伝統的な技法を使用しています



掟の弐:配色は三色に絞るべし! ― 「くすみトレンドカラー」を操る

お洒落なジャパンディ空間の配色は、ベース7割、メイン2.5割、アクセント0.5割の比率を意識し、基本的には3色程度にまとめることが、洗練された空間づくりの黄金比とされています。

洗練された配色のインテリア
色数が増えすぎると、ジャパンディの魅力である「静寂」や「余白の美」が失われ、雑多な印象を与えてしまいます。基本の色を絞り、計算された比率で配置することで、色の洪水に惑わされない、洗練された落ち着きのある空間が生まれるわけです。

架空のシナリオとして、寝室をジャパンディにしたいCさんのケースを考えてみましょう。失敗例は、ベージュの壁、グレーのベッド、ブラウンの床、ネイビーのカーテン…と、落ち着いた色を選んでいるつもりでも、色数が多くて散漫な印象になっているパターンです。これをプロが手直しするなら、まず壁やカーテンをアイボリーやライトグレー(ベース70%)で統一。ベッドフレームやチェストをグレージュやブラウン(メイン25%)に。そして、ここからが腕の見せ所。クッションやアートフレームといったごく小さな面積に、2025年秋冬のトレンドカラーである「バーガンディ」や「ダスティーブルー」(アクセント5%)をほんの少しだけ加えるのです。この”神は細部に宿る”的なアクセント使いが、空間全体を一気に引き締め、プロフェッショナルな仕上がりへと昇華させます。

色の黄金比を守り、トレンドカラーはあくまで「スパイス」として使うこと。この引き算の美学こそが、ジャパンディの色彩設計の極意です。


2025年秋冬の注目カラーパレット

ベースカラー推奨色
アクセントカラー推奨色



掟の参:空間の重心を制するべし! ― 「余白」と「陰影」をデザインする

ジャパンディの心地よさは、「間」と「光と影」によって作られます。家具は背の低い「ローアングル」で統一し、照明は「一室多灯」で陰影をデザインすることが、成功への鍵となります。

陰影の美しい空間

日本の床座文化に通じる「低い暮らし」は、天井を高く見せ、空間に開放的な「余白」を生み出します。また、部屋全体を均一に照らす天井のシーリングライト一つでは、空間が平面的になりがちですよね。複数の間接照明で光を分散させ、美しい陰影を作り出すことで、北欧の「ヒュッゲ」が大切にする、心安らぐ居心地の良い雰囲気が生まれるのです。

よくある失敗例は、大きなソファや背の高い本棚が空間を圧迫し、煌々と照らす白い光の照明で落ち着かないリビングです。これを改善するには、まず家具の重心を下げます。ソファやテレビボードを脚付きのロータイプにするだけで、視線が抜けて部屋が広く感じられますよ。そして照明計画。天井の照明は光の色をオレンジがかった「電球色」に変えて明るさを少し落とし、フロアランプやテーブルランプを部屋の角に置きます。和紙や天然素材のシェードを通した柔らかな光が、壁に美しい陰影を描き出し、空間に奥行きとムードをもたらします。「見せる収納」は本当に好きなものだけに厳選し、あとは扉付きの収納に「隠す」。この徹底した「余白」と「陰影」のデザインこそが、ジャパンディの真骨頂です。

モノを置くことだけでなく、何もない空間「余白」と、光が当たらない部分「影」を意識的に作ること。それが上質なジャパンディ空間を完成させる最後の掟です。

照明計画の黄金ルール
  • 色温度は2700K〜3000K:温かみのある電球色を選ぶ
  • 一室三灯以上:時間帯や気分に合わせて明るさを調整
  • 調光機能を活用:時間帯や気分に合わせて明るさを調整
  • 間接照明の活用:壁や天井に光を当てて柔らかく反射させる

家具配置のチェックポイント
  • 視線の高さを意識:座った時の目線より低い家具を選ぶ
  • 脚付き家具で軽やかに:床が見える面積を増やして開放感を演出
  • 動線を確保:家具と家具の間は60cm以上の余裕を持たせる
  • フォーカルポイントは一つ:主役となる家具やアートは一つに絞る



まとめ:心から安らげる空間づくりへ

ここまで、本物のジャパンディスタイルを実現するための3つの掟、「素材感」「配色」「空間の重心」について解説してきました。表面的なスタイルを真似るのではなく、その背景にある「侘び寂び」と「ヒュッゲ」の哲学、つまり「不完全なものの美しさ」と「心安らぐ時間」を大切にする心を持つことが、何よりも重要です。
完成されたジャパンディ空間
2025年のトレンドは、この哲学をさらに豊かに表現するための新しいヒントを与えてくれます。今回ご紹介した掟を参考に、ぜひあなただけの、心から安らげる、長く愛せる空間づくりに挑戦してみてください。それは単なる模様替えではなく、日々の暮らしそのものを豊かにする、素晴らしい体験になるはずです。

「自分の場合はどうすれば?」「素材選びや照明計画に自信がない…」

そう感じたら、ぜひ一度、住まいづくりのプロにご相談ください。あなたの理想の暮らしや大切にしたい価値観を共有することから、本物の空間づくりは始まります。

私たちと一緒に、あなたのための「心地よい暮らし」をデザインしてみませんか?

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