リフォーム減税、年末調整じゃダメなんです。確定申告の始め方

年末調整の還付金が口座に入って、「ふぅ、今年もなんとか乗り切った」とホッとされている頃でしょうか。コタツでみかんを食べながら、のんびり過ごす——そんな穏やかな年末を想像するだけで、こちらまで温かい気持ちになります。

ただ、ここで一つだけ確認させてください。

今年、ご自宅のリフォームを完了されていませんか?

もし心当たりがあるなら、その「一安心」が数十万円の損失に変わってしまう可能性があるんです。

確定申告と電卓のイメージ

リフォーム減税、会社任せじゃダメなんです

「え、年末調整で処理されないの?」

そうなんです。ここが最大の落とし穴。リフォームによる減税措置は、会社がやってくれる年末調整の対象外なんですよね。つまり、ご自身で確定申告しないと1円も戻ってこないわけです。

しかも厄介なことに、申請に必要な書類は「工事が終わったらすぐ」動き出さないと間に合わないケースが珍しくありません。

特に注意!固定資産税の減額措置

固定資産税の減額措置は「工事完了後3ヶ月以内」という、なかなか厳しいタイムリミットが設定されています。確定申告より先に手を打つ必要があるんですよね。

「難しそうだし、面倒くさいし……」その気持ち、よくわかります。でも、諦めるのはまだ早いですよ。要件さえクリアしていれば、所得税の控除に加えて固定資産税の減額まで、ダブルでお金が戻ってくる可能性があるんです。

あなたのリフォーム、本当に減税対象?

最初に、多くの方が誤解しているポイントをはっきりさせておきましょう。

重要な事実

単なる「外壁塗装・屋根塗装」だけでは、リフォーム減税の対象にはなりません。住宅リフォーム推進協議会のQ&Aには「単体で行う屋根・外壁の塗装工事は減税対象になりません」とはっきり明記されています。

なぜかというと、国のリフォーム減税制度は「住宅の性能向上」を目的としているから。単純な塗り直しは「メンテナンス」であって「性能向上」ではない、という考え方なんですね。

窓のリフォームイメージ

省エネ改修」は”窓”がすべてを握っている

省エネリフォーム減税を受けるための絶対条件は、実は「窓の断熱改修」だったりします。これ、意外と知られていない事実かもしれません。

壁や屋根にどれだけ高性能な断熱塗料を塗っても、窓を触っていなければ「省エネ改修」とは認めてもらえないんです。

住宅の熱損失分布図
出典:日本建材・住宅設備産業協会

したがって、省エネリフォーム減税を狙うなら、次のような組み合わせが必要になってきます。

  • 内窓の設置複層ガラスへの交換(これが必須)
  • 上記とセットで行う壁・天井・床の断熱改修(こちらは任意)

「窓リノベ2025」などの補助金制度と組み合わせれば、窓の断熱改修にかかる費用を抑えつつ減税メリットも得られる、まさに一石二鳥のプランが組めるでしょう。

意外な抜け道】屋根の葺き替えが「耐震改修」になるケース

「窓は触らないから、省エネ減税は諦めるしかないか……」

ちょっと待ってください。もし昭和56年5月31日以前に建てられた住宅にお住まいなら、屋根の葺き替えが減税対象になる可能性があるんです。

重い日本瓦から軽い金属屋根への変更は、建物の重心を下げて地震時の揺れを抑える効果があります。これが「耐震改修」として認められるケースがあるんですよね。

屋根のリフォームイメージ

ただし、単純に葺き替えれば良いというわけではありません。以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 建築士による耐震診断を受けること
  • 改修前の耐震評点が1.0未満であること
  • 改修後に現行の耐震基準(評点1.0以上)に適合すること
  • 建築士等による耐震基準適合の証明を取得すること

手続きは正直なところ複雑です。でも、耐震改修は固定資産税の減額割合も1/2と非常に高い。メリットは決して小さくないと思いますよ。

結局いくら戻る?2025年版「お得度」を計算してみた

「で、結局どのくらい戻ってくるの?」ここが一番気になるところですよね。確定申告の手間をかけるだけの価値があるのか、具体的な金額で見ていきましょう。

ローン残高があるなら「住宅ローン減税(増改築)」

10年以上の住宅ローンやリフォームローンを利用している方は、住宅ローン減税の対象になる可能性があります。

  • 0.7%
    年末ローン残高の控除率
  • 最大10年
    控除期間
  • 14万円
    年間最大控除額
  • 140万円
    10年間の最大控除額

たとえば、400万円のリフォームローンを組んだとしましょう。年末残高が350万円なら、その年の控除額は350万円×0.7%=24,500円。10年間では残高の減少を考慮しても、約20万円以上の控除が期待できるんです。

ちなみに、所得税から引ききれない場合は、翌年の住民税からも一部控除(最大9.75万円/年)されます。年収がそれほど高くない方でもメリットを得やすい制度設計になっているんですよね。

現金派の方もご安心を!「投資型減税」という選択肢

「ローンは組まない主義なんだよね」そんな方も大丈夫。リフォーム促進税制(投資型減税)なら、ローンなしでも減税を受けられます。

項目 内容
控除率 標準的な工事費用相当額の10%
控除タイミング 1年間で一括控除
対象工事 耐震・省エネ・バリアフリー・三世代同居・子育て対応・長期優良住宅化

ここで一つ注意点があります。「実際の工事費用」ではなく、国が定めた「標準的な工事費用相当額」に対して10%が控除される仕組みなんです。工事費が200万円でも、標準単価で計算すると170万円相当と認定されれば、控除額は17万円ということになります。

税金計算のイメージ

見落としがちな「固定資産税」の減額措置

所得税の控除とは別に固定資産税の減額措置も受けられるってご存知でしたか?こちらは確定申告とは別の手続きで、市区町村への申請が必要になります。

工事の種類 減額割合 減額期間
省エネ改修 1/3 1年間
耐震改修 1/2 1年間
バリアフリー改修 1/3 1年間

具体的な数字で見てみましょう。固定資産税が年間8.4万円の住宅で省エネ改修を行えば、翌年は約2.8万円の減額。所得税の控除と合わせれば、合計約20万円以上のメリットが生まれることも珍しくありません。

⚠️ ここが最重要ポイントです

固定資産税の申請期限は「工事完了後3ヶ月以内」。これは法律で定められた厳格な期限であり、原則として例外は認められません。

確定申告(翌年2〜3月)とはまったく別のタイムラインなので、混同しないでくださいね。今すぐカレンダーを開いて、工事完了日から3ヶ月以内であれば、所得税の確定申告より先に市区町村の税務窓口へ足を運んでください。

【ここが運命の分かれ道】「増改築等工事証明書」を手に入れろ

どんなに要件を満たす立派な工事をしても、「増改築等工事証明書」がなければ、所得税の控除を受けることはできません。

この書類、何かというと、工事内容が法的な適用要件を満たしていることを建築士等が「お墨付き」を与えるもの。確定申告の際に必須の添付書類となります。

書類確認のイメージ

あなたの施工業者、証明書を出せますか?

ここで多くの方が壁にぶつかります。この証明書を発行できるのは、限られた資格者だけなんです。

発行可能な者 備考
建築士事務所登録をしている建築士 都道府県知事への登録が必須
指定確認検査機関の建築士等 第三者機関
登録住宅性能評価機関の建築士等 第三者機関
住宅瑕疵担保責任保険法人の建築士等 第三者機関

問題は、一般的な塗装専門店や小規模リフォーム会社には、建築士事務所登録をしていないケースが多いということ。工事が終わってから「証明書をお願いします」と頼んでも、「うちでは発行できないんです……」と断られてしまう。そんなリスクが現実に存在するんですよね。

業者がダメでも諦めない!「第三者機関」という正規ルート

施工業者が証明書を発行できない場合でも、まだ道はあります。第三者機関に依頼するという方法です。

依頼先 費用目安 備考
施工業者(建築士所属) 無料〜1万円程度 最もスムーズ
第三者機関(書類審査のみ) 7,700円〜16,500円程度 図面・写真があれば可能
第三者機関(現地調査あり) 4〜6万円程度 書類不備の場合に必要

費用は決して安くないかもしれません。でも、控除額が17〜25万円になることを考えれば、十分に元は取れる投資だと思いませんか?

増改築等工事証明書 取得フローチャート
START 施工業者に 建築士在籍? YES 業者に依頼 (費用0〜1万円) NO 書類は 揃っている? YES 第三者機関(書類) 7,700〜16,500円 NO 第三者機関(現地) 4〜6万円 GOAL 証明書取得
📌 契約前に必ず確認しておきたい5つの質問
  • 「御社は建築士事務所登録されていますか?」
  • 「増改築等工事証明書は発行していただけますか?」
  • 「発行手数料はいくらですか?」
  • 「発行にどのくらい日数がかかりますか?」
  • 「工事前の写真は撮影していただけますか?」

今すぐ動け!確定申告までの「タイムリミット」

確定申告期間は翌年2月16日〜3月15日。でも、準備はそれよりずっと前から始める必要があるんです。

特に危ないのは、12月に工事が完了した場合。年末年始の休業期間を挟むと、想像以上に時間がないんですよね。

致命的なミス】工事前・工事中の「写真」はありますか?

2025年以降、各種補助金や減税申請において、「工事前の写真」がない申請は原則として受け付けられない傾向が強まっています。

これ、本当に取り返しがつかない失敗なんです。特に以下の写真は必須と考えてください。

  • 施工前の全景写真(外壁・屋根の状態がわかるもの)
  • 断熱材の型番・JIS表示が確認できる製品ラベルの写真
  • 断熱材の厚みがわかるスケールをあてた写真
  • 下地調整や塗り重ねの工程写真

工事が始まってから「写真を撮り忘れた」と気づいても、壁の中や塗装の下は二度と見えません。文字通り「後の祭り」になってしまいます。

カレンダーとスケジュール管理のイメージ

1月中に動かないと間に合わない可能性大

増改築等工事証明書の発行には、1〜4週間程度のリードタイムがかかります。

年末年始の業者休業期間(12月28日頃〜1月4日頃)を考慮すると、12月に工事完了→1月に証明書依頼→確定申告に間に合わないという最悪のシナリオも現実に起こり得るんです。

推奨タイムライン
  • 契約前
    業者に証明書発行の可否を確認
  • 契約時
    証明書発行を契約に含める。工事前写真の撮影を依頼
  • 工事完了直後
    即座に証明書発行を依頼(遅くとも12月中に
  • 1月中旬まで
    証明書を受領。不備があれば修正依頼
  • 2月16日〜3月15日
    確定申告

よくある誤解とトラブルQ&A

最後に、読者の方からよくいただく質問にお答えしておきますね。

  • 確定申告すると会社に副業だと疑われますか?

    これ、意外と心配される方が多いんです。でも、ご安心ください。リフォーム減税の還付申告で会社に通知がいくことは基本的にありません。住民税の天引き額が変わる可能性はありますが、摘要欄に「住宅ローン控除」等の記載がつくため、副業を疑われる理由にはなりませんよ。

  • 昨年のリフォーム分、申告し忘れていました……

    諦めるのはまだ早いです!所得税の還付申告は5年前まで遡って申請可能なんです。必要書類が揃えば、今からでも間に合います。

    ただし、固定資産税の減額措置は原則として期限(工事完了後3ヶ月)を過ぎると遡れません。ここだけはご注意くださいね。

  • 補助金をもらった場合どうなりますか?

    「窓リノベ2025」などの補助金を受給した場合、控除対象の工事費用は「実際の工事費 − 補助金額」で計算します。二重取りとならないよう、正確に申告してください。

まとめ:確定申告は「国が用意したキャッシュバックキャンペーン」

覚えておいてほしいこと

  • 外壁塗装単体では減税対象にならない。窓の断熱改修耐震改修との組み合わせが必要
  • 控除額は数十万円規模になることも。確定申告の手間をかける価値は十分にある
  • 全ての鍵を握るのは「増改築等工事証明書」。施工業者か第三者機関で早急に入手を
  • 写真は「証拠」。工事前・工事中の写真がないと、申請そのものが不可能に
  • 固定資産税の申請期限は工事完了後3ヶ月。確定申告(翌年2〜3月)より先に動く必要がある

税金の手続きは、正直なところ面倒です。書類を集めて、窓口に行って、細かい数字を確認して……。「そこまでするほどの金額なの?」と思う気持ちもわかります。

でもね、これは国が用意してくれた正当な「キャッシュバック・キャンペーン」みたいなもの。申請しなければゼロですが、書類一枚あるだけで数十万円が戻ってくる世界なんです。

まずは契約書と領収書を引っ張り出して、施工会社へ
増改築等工事証明書は発行できますか?」と
確認の電話を入れてみてください。

その一本の電話が、数十万円の価値を持つかもしれませんよ。

リフォームの減税や補助金についてお悩みのことがあれば、
お気軽に株式会社RIzaimまでご相談ください。

京都市山科区を中心に、お客様の理想の住まいづくりをサポートいたします。


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