屋根材の最終決着：ガルバリウム vs スレート。
20年後で後悔しない、京都・滋賀の本当の選び方

こんにちは。京都市山科区で住宅リフォームに携わってきた、株式会社RIzaimです。

あなたの不安、私たちが解決します

夏の夕立。激しい音で屋根を叩く雨を聞きながら、ふと思いませんか？

「そういえば、うちの屋根ってどうなってるんだろう…」

あるいは、きれいに仕上がったお隣の屋根をチラッと見て、「もしかして、うちもそろそろ？」という焦りが生まれたり。築15年を超えると、こんな心理状態になる方、本当に多いんです。

屋根のリフォーム。それは避けられない課題。でも、どうしたらいいか分からない。

実は、この選択肢の違いが、これからの10年20年の快適さと家計に大きく影響するんです。

だからこそ、この記事では、京都・滋賀エリアでの実務経験と、メーカーのデータに基づいた、本当に正直な解説をお届けします。

読み終わった時には、「ああ、うちの場合はこれだ」と確信を持って判断できる。そんな記事を目指しています。

ガルバリウム vs スレート、5つの視点から真っ向比較

ここからが本題です。

まずは基本をおさえましょう。二つの屋根材、何が違うのか。スペックから比較していきます。

【一目瞭然】5項目の徹底比較表

ぶっちゃけ、長い目で見るとどうなの？

初期費用を見ると、スレート塗装がお手頃に見えます。40万円台で済むわけですから。でもね、ここが落とし穴。

スレートは7～10年ごとに塗装が必要。1回40～60万円。

30年間で、この作業を何度繰り返すと思いますか？3回から4回ですよ。累計で120～240万円。

対してガルバリウムは、初期投資は80～150万円と高めですが、30年間ほぼメンテナンスが不要か、あってもぐんと少なくて済みます。

「あと何年、この家に住む？」が判断の分かれ目

いや、待ってください。すべての人がガルバリウムを選ぶべきではない、という話もあります。

ライフプランが重要だからです。

「あと10年で売却予定」「子どもに渡すのは20年後かな」——この辺の時間軸によって、最適な選択は変わってくるんです。

あと10年の短期的な視点なら、スレート塗装でも十分。次のオーナーさんに判断を任せることもできますし。

逆に「この家で老後を迎えたい」「子どもたちにも長く使ってほしい」という思いなら、30年以上持つガルバリウムが心強いんですよ。

「軽い」って実は凄い

ガルバリウムはスレートの約1/4の重さ。

これ、単なる数字ではなく、大事な意味があります。屋根が軽いと、建物全体の重心が下がり、地震の揺れが弱くなるんです。

生活に直結する「体感性能」、ここが違う

スペックだけで判断してはいけない。住んでみて初めて分かることがあります。

「ガルバリウムは雨音がうるさい」は、もう昔の話

このウワサ、一度は聞いたことありませんか？

正直に申し上げます。昔のガルバリウム屋根なら、そのウワサは本当だった。金属特有の反響音が、室内にガンガン響いてきたんです。

でも——これ大事ですよ——現在の主流である「断熱材一体型ガルバリウム鋼板」は、まるで別物です。

• 従来型ガルバリウム
  70dB

  うるさい事務所程度

• 最新型ガルバリウム
  31dB

  深夜の郊外レベル

• スレート屋根
  40-45dB

  図書館レベル

秘密は、屋根の裏面に一体成型された10～20mmの断熱材。ウレタンフォームが雨粒の衝撃をすーっと吸収してくれるんですよ。

「雨音が怖い」という理由でガルバリウムを避けていた方、もう大丈夫。むしろ、静かな屋根を求める方にこそ、最新型ガルバリウムをおすすめしたいくらいです。

夏の2階、「サウナ化現象」をご存知ですか？

京都の夏。2階の寝室が暑すぎて眠れない。

そんな経験ありませんか？

実は、その暑さの主犯人は屋根なんです。真夏の屋根表面は70～80℃にも達する。この灼熱が室内に伝わることで、2階が苦しいほどの暑さになってしまうわけです。

ここで重要になるのが「遮熱性」と「断熱性」の二つの性能。

遮熱塗装を施したガルバリウムと従来型のスレート屋根では、小屋裏の温度差が最大20℃以上になることも。

実測例をお示しします。外気温が35℃の真夏の午後——

• 従来型スレート（塗装なし）：約68℃
• スレート（遮熱塗装あり）：約58℃
• 遮熱ガルバリウム（断熱材一体型）：約47℃

この20℃の差、2階の室温に直結します。小屋裏が10℃違えば、室温は3～5℃変わるんですよ。

ということは、エアコンの効きが劇的に改善されて、電気代も下がるということ。「屋根で数万円の光熱費削減」というのは、決して大げさではないんです。

北側の屋根が「緑化」する現象

リフォーム後10年経った時に、ふと屋根を見上げると。

北側だけ緑っぽくなってない…？

それ、苔です。

スレート屋根は多孔質で吸水性がある。水分を含みやすい素材なんです。京都盆地の湿度の高い気候と相まって、北側の屋根は苔の楽園になってしまうわけ。

これ、見た目の問題だけじゃない。苔が水分を保ち続けることで、屋根材そのものを劣化させちゃうんですよ。

正直に言うと、北側の屋根の苔問題は、スレートの宿命に近いんです…

一方、ガルバリウム鋼板は金属製で非吸水性。水を弾くから、苔やカビが付きにくい構造になっています。

京都市内の住宅密集地なら、隣家との距離が近くて北側が暗い。そういった環境では、10年後、20年後の美観を考えるとガルバリウムが有利なんですよ。

京都・滋賀、この土地だからこそ知るべき「掟」

ここからの情報は、ぶっちゃけ地域限定です。

他の地域では問題にならないことも、京都・滋賀では重要な判断基準になるんです。

京都市にお住まいなら、これを知らないと大変なことになります

「選んだ屋根の色が、実は使えませんでした」

なんていう事態、避けたいですよね？

京都市内で屋根をリフォームする際には、絶対に確認すべき「景観条例」というルールがあります。古都の美しさを守るため、屋根の色や仕上げに厳しい制限があるんです。

つまり「明るいシルバーのガルバリウムにしたい」「赤茶色のスレートが気に入った」という希望も、条例によっては実現できないかもしれないということです。

さらにね。違反すると罰則があります。是正命令が出て、従わなければ最大50万円の罰金ですよ。「知らなかった」では済まないんです。

あなたのエリアは景観地区？確認手順

1. 京都市情報館のウェブサイトで「景観地区」と検索
2. 住所を入力して、該当地区を確認
3. その地区の具体的な規制内容をチェック
4. 分からなければ京都市都市計画局に問い合わせ

東山、北山、西京、嵐山など観光地に近いエリアは要注意。山科区だって、一部のエリアが指定されています。

工事が終わってから「これ、条例違反だ」なんて最悪ですよ。必ず着工前に確認してくださいね。

京都盆地の「蒸し蒸し」と滋賀北部の「どか雪」

京都と滋賀。近い地域ですが、気候が全然違うんです。

京都盆地の湿気問題

三方を山に囲まれた盆地である京都。夏の湿度が高く、風通しが悪い。住宅にとって過酷な環境なんです。

この湿度が、スレート屋根の苔問題を深刻化させるわけ。北側は特に要注意。

盆地特有の「蒸し暑い夏と、底冷えする冬」という寒暖差の激しい気候では、吸水性のないガルバリウムの方が長期的には有利と言えます。

滋賀北部の積雪と凍害リスク

一方、滋賀県の湖北地域——長浜、米原あたり——は、積雪が多い。年間1メートルを超えることもあるんですよ。

ここで恐ろしいのが「凍害」という現象。スレートは多孔質で水を吸収するから、その水が冬季に凍結・膨張を繰り返して、ひび割れや剥離を起こしやすいんです。

加えて「すが漏り」という雪解け水が屋根裏に侵入する現象も。スレートの隙間から水が浸入しやすい構造は、積雪地域では大きな弱点なんですよ。

冬の強風「比叡おろし」への対策

京都・滋賀で忘れてはいけないのが、冬の季節風「比叡おろし」。比叡山から吹き降ろす強風は、時速20～30メートルに達することも。屋根に大きな負担をかけるんです。

特に注意は棟板金（むねばんきん）——屋根の頂上部分。強風で飛ばされたり、下地が腐食して外れたりするトラブルが頻発しています。

重要なのは「適切な施工」です。固定ビスの本数や配置、下地の状態、取り付け方法など、施工品質が風への強さを大きく左右するんですよ。

ガルバリウムでもスレートでも、信頼できる施工業者を選ぶことが何より大切。

ただ、ガルバリウムは軽量なので、建物全体への風圧負担が少ないというメリットもあります。適切に施工されていれば、軽量性は建物への負荷軽減という点でプラスに働くんです。

知らないと大損する「アスベスト」問題

「うちの古いスレート屋根、もしかしてアスベストが…？」

その不安、的中している可能性があります。

2004年以前に製造されたスレート屋根には、高い確率でアスベスト（石綿）が含まれています。

優れた耐久性と耐火性の素材として使われていたんですが、健康被害が明らかになり、今は禁止されています。

アスベスト含有のスレート屋根を「葺き替え」（撤去して新しい屋根に交換）する場合、処分費用が高額になるんです。

アスベスト廃材は産業廃棄物として厳重な処理が必要。費用は通常の廃材の3～5倍ですよ。

相場——

• 通常のスレート葺き替え：100～150万円
• アスベスト含有スレートの葺き替え：150～200万円
• アスベスト処分費用の追加：50～100万円程度

追加費用だけで50万円以上。決して小さくない負担です。

ここで登場するのが「カバー工法」という選択肢。

既存の屋根を撤去せずに、上から新しい屋根を被せるやり方です。

カバー工法なら、アスベスト含有のスレートを「封じ込める」形になるから、飛散のリスクがなく、処分費用も発生しない。

環境にも優しく、工期も短縮でき、費用も抑えられる。まさに一石三鳥の方法なんですよ。

築20年以上のアスベスト含有スレート屋根なら、軽量なガルバリウムによるカバー工法が最適解と言えます。

ただし条件があります。既存の屋根材が著しく劣化しているとか、下地（野地板）が傷んでいる場合は、カバー工法では対応できないんです。

まずは専門業者に現状を診断してもらい、カバー工法が可能かどうか確認することが大切ですよ。

【結論へ】あなたに最適な屋根材を見つけるチェックリスト

ここまで、様々な角度からガルバリウムとスレートを比較してきました。

「で、結局うちはどっちなの？」

その答えを見つけるための、実践的なチェックリストをご用意しました。

10の質問で、あなたの最適解が見える

以下に「はい」「いいえ」で答えていってください。

質問1：築年数について

• 築20年以上経過している
• 屋根材にアスベストが含まれている可能性がある（2004年以前築）

質問2：今後の居住予定

• この家に20年以上住む予定である
• 子どもに家を譲る、または売却する予定は当面ない

質問3：予算と価値観

• 初期費用より長期的なトータルコストを重視したい
• メンテナンスの手間を最小限にしたい

質問4：住環境

• 京都市内で景観条例の対象エリアに該当する
• 滋賀県北部（長浜、米原など）の積雪地域に住んでいる
• 盆地特有の湿気が気になる（北側の屋根が苔っぽい）

質問5：家族構成と健康

• 小さな子どもや高齢者が同居している
• 夏の2階の暑さが深刻で、エアコン代を抑えたい

質問6：建物の状態

• 建物が古く、耐震性を高めたい
• 屋根の下地（野地板）の状態は比較的良好

質問7：デザインの好み

• モダンでスタイリッシュな外観が好き
• 静かな住環境を重視する（雨音が気になる）

質問8：現在の悩み

• 現在の屋根の雨漏りや劣化が気になる
• 台風や地震への備えを強化したい

質問9：メンテナンス履歴

• スレート屋根を塗装してから7年以上経過している
• これまでにスレートの塗装を2回以上行っている

質問10：環境への配慮

• 省エネや環境負荷の低減に関心がある
• 長持ちする製品を選んで廃棄物を減らしたい

診断結果：あなたはどのタイプ？

チェックの総数を数えてください。

診断結果は「目安」です。必ず専門家に相談を

もちろん、このチェックリストはあくまで目安。

最終的な判断には、実際の屋根の状態を専門家に診てもらうことが絶対に必要です。

特に以下の点は、現地調査でしか分からない重要な情報なんですよ：

• 屋根材の劣化具合：ひび割れ、欠け、反りなど
• 下地（野地板）の状態：腐食、強度低下の有無
• 雨漏りの有無と原因：目に見えない部分の損傷
• 棟板金や谷樋の状態：風や雨による損傷
• カバー工法の可否：既存屋根の状態による判断

「診断結果ではガルバリウムがおすすめと出たけど、予算的にはスレート塗装にしたい…」

そんなジレンマを抱える方もいるかもしれませんね。

その時は、優先順位を明確にすることが大切です。

• 費用を最優先する → スレート塗装で当面をしのぎ、10年後に再検討
• 長期的な安心を最優先する → 予算を調整してでもガルバリウムへ
• バランスを重視する → カバー工法で中間的な選択を

また、工事のタイミングも大事。台風シーズンの前とか、大雨が予報されてからでは選択肢が狭まってしまいます。

「そろそろかな」と思ったタイミングで、余裕を持って検討を始めるのがベストですよ。

最後に：後悔しない屋根リフォームのために

ここまで「ガルバリウム vs スレート」という永遠のテーマを、あらゆる角度から解説してきました。

改めて、重要なポイントをまとめます。

大事なことだから、もう一度

• 長期的な快適性とコストを重視するなら、断熱材一体型のガルバリウム鋼板が優位です。 30年以上のメンテナンスフリーと、快適な住環境が手に入ります。
• 初期費用を抑え、あと10～15年と考えるならスレート塗装も有効な選択肢です。 ただし、定期的な塗り替えが必要なことをお忘れなく。
• 京都・滋賀の地域性（湿気、積雪、景観条例）を考慮すると、多くのケースでガルバリウム鋼板に軍配が上がります。 特に滋賀北部の積雪地域では、ガルバリウムを強くおすすめするんですよ。
• 築20年以上のスレート屋根のリフォームは、アスベスト問題を回避できるカバー工法が賢い選択です。 処分費用を抑えながら、軽量化と性能向上を実現できます。
• 最終的な判断は、ご自身のライフプランと価値観次第です。 チェックリストを参考に、最適な答えを見つけてください。

屋根リフォームは、人生の大切な投資

屋根リフォームは「安ければいい」「高ければ安心」という単純な話ではありません。

あなたの家の築年数、今後の居住予定年数、予算と価値観、地域の気候と条例、家族のライフステージ——

これらすべてを総合的に判断して、初めて「最適解」が見えてくるんです。

ネット上には様々な情報がありますが、「〇〇が絶対におすすめ！」といった極端な主張には要注意。

どちらの屋根材にもメリット・デメリットがあり、万人に共通の正解はないというのが真実なんですよ。

この記事では、できる限り客観的なデータと、京都・滋賀エリアでの実務経験に基づいた情報をお届けしました。

「へぇ、こういう視点があったんだ」と思っていただけるポイントがあったなら、これほど嬉しいことはありません。

あなたの決断を応援しています

屋根リフォームは、10年、20年先までの家族の暮らしを守る大切な投資です。

雨漏りしてから慌てて業者を探すのではなく、時間的にも精神的にも余裕を持って、じっくり検討してください。

複数の業者から見積もりを取り、疑問点はしっかり質問し、納得いくまで比較検討する。その手間を惜しまないことが、後悔しないリフォームの秘訣なんですよ。

この記事が、あなたのその大きな決断の一助となれたなら、私たちにとってこれ以上の喜びはありません。

正しい知識を武器に、心から納得のいくリフォームを実現してください。

「うちの場合は具体的にどうなんだろう？」「もう少し専門家の意見が聞きたい」と感じたら、ぜひ一度、屋根の専門家にご相談ください。

現状を客観的に知ることが、後悔しないリフォームの第一歩です。